慢性疲労症候群はただの疲労じゃない!過労でもない!患者の苦しみが分かる「慢性疲労症候群日記」

前回、医師による慢性疲労症候群を解説した『危ない!「慢性疲労」』について取り上げました。

今回は、患者の側からみた(経験された)慢性疲労症候群について書かれた、湯浅俊恭著「慢性疲労症候群日記」です。

この症状で苦しんでいる患者にとって、有益と思われる情報がたくさんありましたので、今回はその一部を紹介します。

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◆発症

筆者は次のような発熱、頭痛等の症状が出ますが、最初のうちしばらくは「慢性疲労症候群」とは気づきません。

私は、四十度の熱を出して寝込みました。
過労で倒れた、というのとは、少し違います。(中略)

頓服薬(バファリン)で熱を下げては、また発熱する、という繰り返しでした。
今思えば、熱が下がっている間に、救急車で病院に行くべきだったのです。
しかし、たかをくくっていました。
たかが風邪だと。(出典:第1章 発熱)

下痢はとまらず、熱は三十九度から四十度にも達しました。頓服で三十六度台にさがっているときにも、頭痛がするようになりました。頭痛は、ずきずき、がんがん、と、頭蓋骨の中を響きます。頭蓋の全体を、巨大な万力が締め付けてくるような痛みです。(中略)

感覚として、常に風邪をひいたような状態です。めまいもします。歩くと脳がくらくらして、視覚もふらつきます。(出典:1 発熱)

全身が泥になったような疲れ方です。それみ、粘液質の、ぬちゃぬちゃした泥のような。(中略)

何かがおかしいと思いました。
けど。
私はそれを、単なる過労だと思っていました。(出典:2 発症)

大した熱でもないのに、布団から体も起こせないほどの脱力感があります。
咳や鼻水はないのに、喉の痛みと発熱があります。
食欲はあります。これは風邪の引きはじめと同じです。(出典:2 発症)

◆病院へ

しかしあまりに長期にわたって続く症状にさすがに違和感を感じ、病院に行くことになります。

さすがに「異常」だと感じました。
いつまでたっても治らない疲労感。
いつまでたっても治らない頭痛。
いつまでたっても治らない風邪。(出典:2 発症)

某A医大附属病院に行きます。

そこで下された診断は、急性上気道炎、髄膜炎の疑い、というものでした。

二週間会社を休むことになります。

ところが、二週間休んでも、まだ症状はおさまらなかったのです。(中略)

喉は、常に腫れて鈍く痛み、異物感がします。ざらついている、あるいはいがらっぽい、という感覚です。(中略)

頭はぼーっとして霞がかかったようです。視覚的に、というのではなく、明晰な思考ガ出来なくなる、という意味でです。いわゆる「頭重」というやつでしょうか。思考力は最悪で、勘違いも頻発します。(出典:2 発症)

帰宅時には玄関を這うようにして上がり、寝床にもぐり込みます。一時間ほど横になっていると、身体を動かすだけの気力が出てきます。日常の動作をするためだけに、休養が必要なのです。
けれど、風呂に入ると、ぐったりとして何をする気力もなくなります。「風呂の蓋を持ち上げる気力もない」と言えばわかっていただけるでしょうか。健康な頃は、風呂からあがると疲れがとれて元気になったものですが、その頃は、早く寝床にもぐりこむことばかりを考えていました。(出典:2 発症)

症状が悪化したこともあり、某A医大附属病院の待ち時間に耐えられそうもない筆者は某B大学病院に行くことにします。

そして、某B大学病院では頭痛薬を出されるのですが、「病的な疲れ」が分かっていないようで、心療内科をすすめられます。そのときのことを著者は、

慢性疲労症候群という病気は、どうにも中途半端で、いやな病気です。病気らしい症状が出ないからです。病気とまでは言えないほどの微熱。客観的な照明のしようのない、頭痛や倦怠感といった症状。
それも常に続くというわけではありません。いわゆる「不定愁訴」です。ですから、仕事がさぼりたくて自分に嘘をついているんじゃないだろうか、とか、偽りの病気を作り上げてしまい「ミュンヒハウゼン症候群」にかかっているのではないだろうか、とか、周りにはそう思われてるんじゃないだろうか、とか、色々と不安になってしまいます。
慢性疲労症候群にかかっている人は、うつ病の症状を併発することが多いと言いますが、このあたりが原因ではないでしょうか。(出典:2 発症)

と書いています。

また、某A医大附属病院や会社の同僚にも心無い言葉を投げられてしまった経験について書いています。

A医大附属病院の先生にそのことを相談すると、「私だって疲れることはある」と、吐き捨てるように言われてしいまいました。
——そりゃあんただって疲れるだろうよ。でもさ、それとこれとは話が別なんだよ!
もちろん口には出しません。医者に見放されたら、と思うと、患者は弱いものです。
病的で異様なまでの「疲労」は、この病にかかったことのない者には絶対に理解できないものです。
会社の同僚に症状を話したときも、次のように言われました。
「しんどい、しんどいと思っていたr、本当にしんどくなることがあるものだ」
腹の立つ言葉でした。
——そういうレベルじゃないって。(出典:2 発症)

◆自ら調べ、そして診断へ

業を煮やした筆者は自らパソコンで調べ、慢性疲労症候群というキーワードにようやくたどり着きます。

自分の病気が「慢性慰労症候群」なのではないか、と疑っていました。「ずっと続く頭痛」と「動けなくなるほどの倦怠感」、というキーワードが一致したからです。(出典:3 診断)

そして、漢方薬屋に飛び込み、「人参養栄湯」という漢方を処方してもらいます。すると、症状が軽くなります。

また、自ら資料を提示し、某A医大付属病院からも「慢性慰労症候群」という診断を受けることになります。

◆治療、全快へ

その後、B大学から、慢性慰労症候群を研究しているルイ・パストゥール医学研究センターを紹介してもらい、治療を受けるようになります。

主な治療に「補中益気湯」、疲労に対して「人参養栄湯」、喉の痛みと微熱に対して「桂枝湯」の処方を受けます。頭痛薬には、「リンラキサー」と「テルネリン」えお飲みます。そののち三年間にわたって同じ薬を飲み続け、ようあく、まがいなにも社会生活ができる程度には回復したわけです。(出典:5 出会い)

発症から約二年、旅行にも行けるまで回復した著者は、主治医に「全快」の診断書を書いてもらい、会社に復帰することになります。

◆再発、退職、治療専念・・・

しかし、めまいを起こして寝込んでしまったり、肩痛、頭痛を起こしたりして、結局会社を退職することを余儀なくされます。

一度治っても再発してしまう・・・。

大変難しい病気です。

しかし、その後は治療に専念し、完全にではないものの、症状はかなり軽くなったそうです。

◆患者へのアドバイス

筆者は病院選びについて、他の患者へのアドバイスをこう行っています。

慢性疲労症候群の患者は、よく「ドクターショッピング」をする、と言われます。あっちの医者、こっちの病院、と、治療法を求めてさまようのです。
ところが、この病気は、速効性のある治療法がある病気ではありません。(中略)
医者の側も、長期にわたって患者の様子を診ることができなければ、よりよい治療法を確立することはできません。(中略)
一度、信頼できる医師を見つけたら、その人ととことん対話して、その治療方針に従って下さい。(出典:5 出会い)

また、休職するようになってしまった場合の考え方についてもこのようにアドバイスしています。

大学時代に読み残した本を読み、宗教や思想の解説書を読み、語学を復習しました。
その中で、忙しく働いていては一生触れられなかっただろう、様々なことを知ることができました。多くの人が、そうしたくてもできなかった生活ができたのです。
人は、一人で全てのことをこなすことはできません。ですから、その時点でやれること、真にやりたいこと、をこなせばそれでいいのです。病気を恥じる時間があるのなら、楽しいことを探すべきなのです。(出典:5 出会い)

詳しい内容は、本書をお読みいただければと思います。

湯浅俊恭著「慢性疲労症候群日記」は、こちらから。

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