村上龍「恋愛の格差」から、恋愛論・結婚論・離婚論をまとめてみた

一昔前(2002年出版)の本になりますが、2017年現在でも通ずる話が多かったので、今回は村上龍著「恋愛の格差」を取り上げます。

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◆メディアの問題

時代が変化しているにも関わらず、メディアの結婚への取り上げ方が変化しないことについて、村上氏は次のように述べています。

どうして結婚しないのか、メディアはそういう問いを立てる。その問はどこか変だ。適齢期の男女が結婚することは世の常識だという前提に立っているからだ。なぜ昔は結婚することが常識となっていたのか、という問いのほうが問題を明確にすることができる。昔の人は男女間に愛があれば結婚するのが当然だと思ったわけではない。昔の女性にとって結婚することは生きる上で有利だったのだ。(出典:「それでも私は幸せ、と言えるだろうか」)

独身のタレントやスポーツ選手に対し、「どうして結婚しないのか」と問うことは2017年現在でも続いており、あまり変わっていません

◆格差

続いて、村上氏は日本に「経済的な格差」が生まれつつあることを指摘していました。

メディアがどんなに隠しても、自分は一生ファーストクラスで旅行することはない、と自覚せざるを得ない層がいずれ大量に生まれることになる。(出典:「それでも私は幸せ、と言えるだろうか」)

個人的な格差が露わになる。大多数の人は没落するだろうが、そういう人々、つまり恋愛ができず、恋愛を市場で手に入れる経済力もない人々のためのセイフティネットが準備されていないし、準備されようともしていないし、必要性さえ問われていない。(出典:「自分を高く売れなければ意味がない」)

「普通」はもうないのだ。「普通」がないのだから、「普通の恋愛」や「普通の結婚」があるわけがない。普通に結婚したい、という女性も少なくないが、彼女たちはいったいどういうイメージで「普通」を考えているのだろうか。(出典:普通の結婚を望む、その”普通”とは)

この本が出版されてから15年ほど経ちどうなったか。

経済的な格差は広がり、定収入のため恋愛できず、結婚できない人が増えました。そして、生涯未婚率が増加し、出生率は低いままです。

◆恋愛とは?

恋愛のメリット、努力についても語っています。

わたし個人の考えだが、好きな異性と一緒に住むメリットの最大のものは、たとえば風邪を引いて高熱を発したときなどにリンゴのすり下ろしを食べさせてくれる、というようなことに尽きるのではないかと思う。弱っているときに、肉体的に、精神的に、助けてもらえるということだ。(出典:「一人で生きられる時代に二人で暮らす理由」)

恋愛ほど頑張るという言葉が不釣り合いな行為はない。それは、恋愛には、我慢とか忍耐とか無理が似合わないからだろう。恋愛というのは、自分が相手を必要としていて、その相手も自分を必要としていることを、強制することも依存することもなく、確かめ合うものだ。だから頑張る必要はない。二人が共有する時間を充実したものにするために、ちょっとした努力をすればいいだけだ。(出典:「恋愛に我慢や忍耐は似合わない」)

確かに弱っているときに助けてもらえるのは大きなメリットですね。

そして、「恋愛を頑張っている」人は、私もちょっと違和感があるかもしれません。

◆恋愛の資格

恋愛は誰にもできるものでなく、経済的な自立が必要であるとこの本のなかで何度も説いています。特に、フリーターやパラサイトシングルに厳しめです。

恋愛にはお金がかかる。そのお金をどこでゲットするか。銀行強盗でもしない限り、自分で稼ぐしかない。親の金で恋愛費用をまかなう人は恋愛をする資格がない。そういう恋愛は親に反対されたらそれでもう終わりだ。(出典:「恋愛ができる人間の資格とは」)

パラサイトシングルの最大の欠点はセックスの場所の確保がむずかしいということではないだろうか。(出典:「パラサイト・シングルに恋愛は可能か?」

◆離婚について

離婚についても自身の考えや昔との違いについて述べています。

出戻りからバツイチと呼称がか会わることによって離婚がはるかに容易になったと思う。離婚が容易になると、結婚生活にそれなりの緊張が入り込むことになる。(出典:「一人で生きられる時代に二人で暮らす理由」)

単に結婚相手を探しているのではなく、自分は恋愛をしているのだ、と思いこめばそれで寂しさからは逃れられる。そうやって結婚をして、我慢に我慢に重ねてきて、子どもを育てて、子どもが自立し、夫が定年退職したあとにハッと我に返り、恋愛でもなんでもなかったと気づいて離婚をするという中年の女性が増えた時期もあった。(出典:「自信を失った男と恋愛に憧れている女」)

2017年の今も「熟年離婚」は増え続けています。

◆村上龍「恋愛の格差」

この本は、私が上記で引用したように恋愛のことばかりが書いてある本ではありません。

恋愛を中心にした経済や文化、生活など人生そのものについて書かれた本です。

宣伝には、

経済的に大きな格差が生まれてきたいま、恋愛にも格差が生じている。競争社会の敗者に恋愛は可能なのか? 現代日本の「格差を伴った多様性」の中での、恋愛の可能性について綴る。

と書かれていました。

私は自分の人生にとって、大変参考になる本でした。

村上龍「恋愛の格差」は、こちらから。

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